おせち料理の中身は?定番メニューと重箱の詰め方
お正月にいただく「おせち料理」は、漢字では「御節料理」と書きます。元々は、暦上の節供(せっく)を祝うもので、そのご馳走を「御節供」(おせちく)と呼んでいました。江戸時代には、「おせち」と略して呼ぶようになり、現代のお正月料理になったといわれています。
おせちは、元々は神様へのお供えものであり、その内容は乾物が中心でしたが、明治時代には、その土地で採れた海や山のものを美しくお重に盛り付けていただくようになりました。 今回はおせち料理の定番メニューと、時代とともに変化しているおせち事情について解説します。
目次
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1.
おせちの定番メニューは20~30種類
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2.
五段重の五の重は空っぽ!?重箱の中身は?
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2-1
五段重の場合
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2-2
三段重の場合
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3.
家庭でもきれいにできる!おせち料理の重箱の詰め方
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4.
おせちの種類も様々!洋風おせちに中華風おせちも人気
おせちの定番メニューは20~30種類
おせち料理の基本は、日本のフルコース懐石料理にあります。おせち料理は平均して20〜30種類。そして「祝い肴」を基本として、次の5つに分類されます。
- 祝い肴
- 口取り
- 焼き物
- 酢の物
- 煮物
聞き慣れないかもしれませんが、祝い肴とは、祝いに相応しい豪華な肴のこと。日本料理は、「黒豆」「ごまめ」「数の子」を祝い肴として、この3種があれば新年の縁起物としてのおせちは成り立ちます。 では、5つの分類それぞれに、どのような料理のことを指すのか、次の段落で重箱ごとに紹介していきましょう。
五段重の五の重は空っぽ!?重箱の中身は?
古来よりおせち料理のお重の数は、五段重が正式なものとされており、お重に詰める際にもそれぞれの段に詰めるお料理の決まりがありました。しかしながら今では核家族化、お正月の過ごし方の多様化により、簡略化された三段重や一段、和洋のメニューなど、おせちの形を変えてきています。
五段重の場合
お料理が入るのは一の重から四の重までが決まりとなっています。それでは五の重はと言うと、「控えの重」と言われ、正式には年神様からの福を詰める場所として空けておくという習わしになっています。
お重 | 分類 | 料理 |
---|---|---|
一の重 | 祝い肴、口取り | 黒ぶどう豆、田作り、数の子(基本の3種)、紅白のかまぼこ、栗きんとん、昆布巻、伊達巻など |
二の重 | 焼き物(海の幸) | 海老艶煮、鯛の姿焼き、ぶり照焼、煮蛤など |
三の重 | 煮物(山の幸) | 蓮根、くわい、里芋、ごぼう、鶏肉などの煮〆 |
与(四)の重 | 酢の物、和え物 | 人参、紅白なます、菊花かぶ |
三段重の場合
お重 | 分類 | 料理 |
---|---|---|
一の重 | 祝い肴、口取り | 黒ぶどう豆、田作り、数の子、紅白のかまぼこ、栗きんとん、伊達巻などの縁起物 |
二の重 | 焼き物、酢の物 | 祝海老、鯛や鰤などの焼き物、紅白なます |
三の重 | 煮物 | 蓮根、くわい、里芋、ごぼう、鶏肉などの煮〆 |
家庭でもきれいにできる!おせち料理の重箱の詰め方
おせちをきれいに重箱に盛り付けるには、重箱の中の区切り方や詰め方に気を配りましょう。家庭でもきれいにできるおせちの盛り付け方、大きなポイントは以下の3点になります。
- お重に盛り付ける料理の種類は、日本では縁起の良いとされる奇数の5、7、9にする
- 形の崩れにくいものから詰めて、厚みのないものは重ねて高さを出すようにする
- 色のバランスも考え、似たような色のものは離して配置する
重箱を使わない場合でも、和風の大皿や、白い洋風のプレートなどを使えばおせちは美しく盛り付けられます。
さらに詳しく、お重の構成を考えて料理に適した代表的な盛り付け方についてもご紹介します。
「市松」一の重
一の重は、おせちの顔になるもので伝統的な「市松」に盛り付けます。黒豆のような汁の出るようなものは小鉢に入れて中央に置きます。匂いや味が移らないようにバランを重箱の長さに合わせて3列の仕切りを作ります。正方形を9つ作るイメージでおせちを置きます。
「末広」二の重
「末広」は、中心に置いた料理から扇状になるようにバランで区切って盛り付けていきます。幸せが八方に広がりますように、という意味です。焼き物、酢の物など、一の重で詰め切れなかったご馳走も二の重に配置します。汁気をよくとって、下から上へと積み重ねて盛り付けることで取り分けた時に形が崩れず、美しさが保てます。
「手綱」三の重
三の重には「手綱」の盛り付けで斜め対角線上に美しく盛り付けていきます。重箱の隅に、里芋や鶏肉などを対角に置き、中央に手綱を引くように人参などの彩り豊かな食材を敷き、たっぷりの煮〆を盛り付けます。
おせちの種類も様々!洋風おせちに中華風おせちも人気
日本の伝統的なおせち(お重)の作り方や、種類を見てきましたが、最近では、お取り寄せのおせちも増えて、シャンパンやワインにも合うようなクリームチーズやサーモン、キャビアなどを使ったオードブルのような食材や、アワビや伊勢エビなどの贅沢食材、中華や洋食と幅広い種類のおせち料理が増えてきています。
中国料理は外で食べるもの、温かくなくてはならないという概念がありますが、最近では容器ごと温められるものや、冷めても美味しい味付けなど工夫がなされています。
伝統のおせち料理の意味を知り、そこに新たなバリエーションを付け加えれば、おせち料理の楽しみ方は何倍にも膨らみそうですね。