なぜ、お正月におせち料理を食べるの?おせち料理の意味や由来について
お正月といえば、おせち料理。重箱の中には、日持ちする料理が詰められています。これは、神様に供物をささげて祈る正月三が日に、騒がしくしないよう炊事をしない風習があり、日持ちのする料理を年末にたくさん作ることになったため。主婦が大変だから、「三が日はゆっくり」という意味合いではなかったのですね。今回は、あらためておせち料理の意味や由来についてご紹介したいと思います。
目次
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1.
おせち料理の起源は弥生時代。神様へのお供えから始まった
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2.
おせちに込められた縁起料理とは?
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2-1
【海の幸のおせち】
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2-2
【山の幸、里の幸のおせち】
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3.
おせち料理の魅力を再発見し、縁起の良い年のスタートを
おせち料理の起源は弥生時代。神様へのお供えから始まった
おせち料理は弥生時代から始まったといわれています。作物の収穫に感謝し、神様にお供えをし、そのお下がりをいただく、それが「おせち料理」の始まりとされています。
その後平安時代には、中国から年の節目を祝う行事が伝来し、日本の祭祀(さいし)と融合。宮中で*五節会(ごせちえ)として季節の節目に酒食を賜る儀式が行われるようになりました。室町〜安土桃山時代には、元旦に雑煮が出されたとの記録も残っており、この頃、日本料理の原型とされる武家の饗応料理(酒食を供して他人をもてなすこと)が儀式料理として一般にも影響を与えるようになったといわれています。
江戸時代には戦国武士が使っていた「お重」が庶民の間で弁当箱として使われるようになり、江戸時代後期には、お正月の祝いが大衆文化として認められ、縁起物の料理を重箱に詰める現代の「おせち料理」のスタイルになっていきました。
*五節会とは、元日(がんじつ)、白馬(あおうま)、踏歌(とうか)、端午(たんご)、豊明(とよのあかり)の節会。
おせちに込められた縁起料理とは?
神様への供物料理だったおせちには、どんな縁起の良い食材が使われているのでしょうか?今日では、家族の繁栄を願う縁起物として定番となった食材をご紹介します。
【海の幸のおせち】
鯛(たい)
まさしく、“めでたい”という言葉にかけお正月のメインにふさわしい食材。淡紅色で美しく、縄文時代から食されていたと伝えられています。
数の子
黄色くぎっしりと詰まった鰊(にしん)の卵は子宝に恵まれ、子孫繁栄の食材とされています。
鰤(ぶり)
鰤は、地域によって呼び方は異なりますが、魚夏(わかし)、鰍(いなだ)、稚鰤(わらさ)、鰤、と成長過程で名を変える出世魚です。その中でも最も成長した呼び名である鰤は、縁起の良い魚とされています。師走から冬にかけて脂がのって美味しいとされる旬の魚です。
鮑(あわび)
古くは奈良や平安時代の貴族に重宝された高級食材で、鮑の身は長く伸びることから永続性のある発展を現し、祝い事によく使われます。
海老
海老は腰が曲がっていることから、長生きや長寿を表しており、腰が曲がるまで長生きするという縁起物です。
昆布
「よろこび」を広める=「よろこぶ」の語呂合わせと、繁殖力の高さからお祝いの席には欠かせないものとして知られています。子孫繁栄を願う「子生婦(こんぶ)」と書かれることもあります。
紅白のかまぼこ
かまぼこの半円形は、日の出と同じで新しい門出を祝うものです。紅色は魔よけ、白色は清浄を表すものとされています。
【山の幸、里の幸のおせち】
黒豆
古来より黒は魔よけの力があるとされ、年の初めに厄を祓うものとしておせちに入れられるようになりました。また豆は、「一年中まめに働けるように」という意味が込められています。
栗きんとん
栗きんとんは見た目にも鮮やかな黄色で、おせちの中では金銀財宝を表しています。さらに漢字では、栗に金の団子と書いて「栗金団」(くりきんとん)と読むことから、「今年もお金が貯まりますように」といった願掛けにもつながっています。
伊達巻(だてまき)
伊達政宗公に由来がある伊達巻は、派手、豪華さを表しています。また、昔の書物は巻物であったため学問成就の叶う縁起物としても扱われていました。
蓮根(れんこん)
蓮根は、孔(あな)が空いていることから望遠鏡のように遠くが見える、先がよく見えるようになるという意味が込められているのと、蓮根は種が多いため、多産の縁起物とされています。
くわい
くわいは小さな球形から先のとがった芽を出すため、昔から「芽が出る」と縁起の良いものとされてきました。
ごぼう(たたきごぼう、金平ごぼう)
ごぼうは根を張る食材で滋養たっぷりの歯ごたえのある強さから家族の安寧(あんねい)と丈夫を願って、おせちに入れるようになったといいます。
おせち料理の魅力を再発見し、縁起の良い年のスタートを
日本の伝統食であり、家族の健康や幸せを願う心が宿るおせち料理。おせち料理の由来から始まり縁起物としてのおせち料理を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
ご紹介した以外にも、紅白なますやナマコ、酢だこ、トコブシ、野菜の煮〆、なども定番のラインアップ。どれもこれも日本の伝統的な食材ではあるものの、お正月にしかお目にかからないというお料理も増えてきているかもしれません。
それぞれの食材に込められた意味を知るとさらにおせちの味わい方が変わるのではないでしょうか?美味しくいただきながら、日本の伝統を味わうことができるのもおせちの魅力といえるでしょう。